先日、千葉県君津市の東日本製鉄所から、汚水が流出した問題で、
水質検査の結果、毒物の「シアン」を検出したと発表した。
毒物が川に流れ、大量の魚が死んでしまった。
シアンと聞くと何だろうと思うが、シアンとは「青酸」のことを言うようだ。
化合物として「青酸カリ」がある。
和歌山毒物カレー事件で使用された毒物である。
シアンがカリウムと結合すると、青酸カリができる。
川の水の中にはカリウムも当然あるし、
一部では青酸カリとなっていてもおかしくはない。
人間の致死量はなんと、0.2g。
耳かき一杯の数分であの世に行ってしまう恐ろしい毒物だ。
今回のシアンの量は0.6ml/Lということなので、
あの川の水を300ml飲むと死ぬかもしれない。
さてここから本題です。
こちらのグラフは合成界面活性剤と石鹸の魚毒性試験結果です。
LD-50というのは魚が半分死ぬ濃度です。
合成界面活性剤は0.5mg/Lから徐々に魚が死んでいるのがわかります。
10mg/Lでほぼ全滅です。
石鹸は50mg/Lくらいから死んでいるのがわかります。
家庭台所用洗剤の合成界面活性剤の添加量は約30%。
よって、台所洗剤3mg~30mg/Lでほぼ全滅です。
3mg=0.003g つまり0.003mlです。
30mg=0.03gで0.03ml。
スポンジに付ける1回の量は0.75mlなので
これを魚の入った1L瓶に入れると、魚は全滅します。
植物由来だろうが、石油由来だろうが、全滅します。
皆さん普通に使っていると思いますが、
私もここまで魚毒性があるとは思いませんでした。
次に石鹸ですが、液体石鹸も同様に30%位石鹸を含んでいます。
なので150mg=0.15g/Lで魚が徐々に死んでいきます。
また、石鹸はその他の合成界面活性剤と比較すると、
約10倍~15倍の量を必要とします。
スポンジに付ける量は10ml~15ml。
液体石鹸15mlを魚の入った1L瓶に入れると、全滅します。
しかし石鹸は自然界ではカルシウム・マグネシウムイオンと反応し、
直ちに石鹸カスになるため、実際は100ml/L入れても
魚は死なないということも。
石鹸カスは微生物のエサとなりますが、
分解量は合成界面活性剤と比較すると
5倍~10倍の量を分解しなければならない。
つまり、微生物が分解するスタートは合成界面活性剤よりも5倍~10倍多い
位置からの分解であって、同等ではないのです。
ちなみにその差を微生物が分解するまでに約8日かかります。
生分解性が良いというのは味方によって変わるという部分があるのです。
合成界面活性剤よりも石鹸の方が分解率は高いが
量が多いので実際は分解に時間がかかります。
その間川は石鹸カスで汚れているということになります。
石鹸カスは水に溶けませんから。
またパーム油の量も合成界面活性剤と比べると
比例して多くなります。ここもありますね。
結果としては、洗剤をあまり使わないというか
原料の問題のような気がします。